人工透析って聞いたことがある方は多いと思いますが、内容を知っているという方は少ないのではないでしょうか。
よく道端に「人工透析」とか、「血液透析」という看板があったりと、そこまで珍しいというものではありません。
そこで、今回は透析について、人工血液透析というものをご説明させて頂きたいと思います。
人工血液透析は、HD(Hemodialysis:ヘモダイアリシス)とも呼ばれており、日本ではもっとも患者数が多い透析方法です。
血液透析の場合、どのようなことを行うのでしょうか。
血液透析を簡単に説明すると、まず、医療機関 でしか 行うことができません。
なぜなら、ダイアライザーという、人工腎臓 を使用するからです。
人工腎臓とは、化学繊維を中空糸膜という極細の糸状にしたものです。
通称:膜(まく)と言われています。
また、血液透析をするために、一般的の採血に使用する針の約2倍の太さの針を体に刺入します。
ですから、それなりに痛みを伴うということですね。(このごろはシール型局所麻酔薬があるのでそれほど痛くありません)
なぜ、そこまで太い針を血液透析に使用するのかというと、それはある程度の血流が必要だからです。
透析をされる患者さんは、体の老廃物を腎機能が悪いために、おしっことして体外に出すことができません。
そのため、血液自体を外に出して、濾過して、体に戻すということを行います。
それが透析というものなのです。
しかしながら、一般的にはそこまでの血流を確保することが難しいため、腕の静脈に動脈をつなぎ合わせる手術を行います。
その手術は、シャント造設手術といって、比較的短時間で手術を行うことができます。
ただし、私の経験ですが、シャント不全となって、血液透析が行えず、再度、再々度、手術を受けられる患者さんも多くいらっしゃいます。
血液透析を続けていくということは造設した「シャント」を、どのようにして維持していくか。
ということも重要な課題になります。
また血液透析といっても、簡単に短時間で行えるわけではありません。
血液透析の治療を行う頻度は、週に3回で、1回4時間ほどかかります。
つまり、血液透析をするための治療を1週間に12時間使わなければならないということになります。
もちろん、医療機関は基本的に日中のみですので、日中の貴重な時間を使わざるを得ない状況になってしまいます。
治療は針も留置したままですし、仰向けになった状態で行います。
私の経験上ですと、透析中は、患者さんはおとなりのベットの患者さんとお話をしたり、読書あるいはテレビを見ていたりして過ごしています。
日本では、透析を受ける患者さんの約95%が血液透析です。
そのため、多くの透析を必要とする患者さんが医療機関をご利用されることになっています。
専門的な立場から今後の透析患者数を予測すると、生活習慣病が増える中で、さらに増加していくこととなるでしょう。
それを阻止すべく、ご自分の健康はご自分で守りたいものですね。